俺と仕事と大五郎~四月の変~

前回までのあらすじ

過労でぶっ倒れ3週間休むも仕事量は増える一方で俺様は病んだ。

 

鬱がマジでバチクソにやばかった。

私は高校時代も鬱とパニック障害を発症しているので、どんな状態が鬱かそれなりに判断がつくのだけど、記憶力の低下、集中力のなさ、焦燥感で仕事とかしてる状態じゃねぇんだマジで。取引先で適当なこと言い始めるし、車のハンドルが効かなくなった感じだ。ブレーキもアクセルもハンドルもない車に精神だけが乗せられる。

気が狂いそうだった。てか狂った。

今思えばなんか……変な会社かもしれない。研修の時にへんなマナー講師が来て「他責と自責です! 人のせいにするのはやめましょう!」とか言われた。

説明会も嘘ばっか(これはこっちも面接で多少の嘘をつくから仕方ないとして)だし、新入社員のうちの残業は自己研鑽だから残業代つけるなみたいな無言の圧力とか、大して教えてもいないのに一年で担当持たされてノルマ自分で決めてキャンペーン企画しろでも別に頑張ってもインセンティブとか無いし、人は少ないし、補充する気もないし、どういうつもりなんだろってことが沢山あった。

飲み会もほぼ強制参加でおっさんたちのご自慢説教を聞いて、私は酒を飲まないけど会費取られるからろくに飯も食えないまま出て行く5000円。飲み会に出てるっていうのに、こういうのには出なきゃダメだコミュニケーションだから出ないといけないとか言われる始末。

そして極めつけは採用理由だ。「フロアが男子校みたいだったから女子を採用した。君よりもっと優秀な男がいたかもしれないが、君は女だから採用された。感謝しろよ」

感謝なんてするかボケ。このハゲ。どうりで女全然いねぇと思った。職場に花添えてぇだけなら何だァ?この仕事量は。女が見たいし、女も男並みの仕事やってくれたらいいな~ってか? 女形のアンドロイドでも導入した方がいいんじゃないですかね……。もうこっちもお上品になってやってらんねぇ。な~にが「おふろさんってたまに空気読めないときあるよね」だよ、おめ~はいつでも空気読めて無いんだわ気付けや。

 

ちょっと取り乱したけど概ねこうだ。わりと会社の仕組みとかはちゃんとしたとこだと思う、そうじゃなきゃ入社しないので。でも現場がなかなかのクソだった。こんなのは入ってみなきゃ分かんない。

案の定、私の一個上の先輩も去年の秋ぐらいに鬱で退職してしまった。

私は彼が物陰に呼び出されて「夏休みをここの時期に取るなんて非常識だしお前まだ新人なのに何言ってるの」とか上司に言われてるの見ちゃったんだ。彼はすごく綺麗で完成度の高い報告書を作る人で、優しくて、だからダメだったんだと思う。目に見えてどんどん壊れていく彼に、しばらく休んだ方がいいよと声をかける人はいなかった。薄々、次は私の番だなという気もしていた。

 

広い目で見れば、私の状況はそこまでブラックじゃないし、騒ぎ立てるレベルのものじゃないかもしれない。事実、この会社で長く勤めてる人もいるし、優れた側面もきちんとある。でも、私には無理だった。適応できなかった。

仕事って身体壊してまでやるようなことじゃないんだよ。だって生きるために仕事してんのに、仕事に健康を害されたら元も子もないじゃん。

食う、寝る、自我を保つ、その余力で食い扶持を稼ぐ。結局食い扶持を稼ぐだけの話で、心までボロボロにしても意味ないし。

 

というわけで転職する方向で動いてます。転職だってラクじゃないけど。

 

俺と仕事と大五郎~三月の変~

2018年3月、私は出張先のアパホテルで突然ぶっ倒れた。

マジでバターン!って倒れたわけではないが、前泊してるホテルで39度の高熱を出した。

きちんと時系列でいこう

3月某日(月) 会社で通常業務後、新幹線で出張先へ移動。めっちゃ頭が痛い。断れない飲み会へ出席し、夜風呂入ったらフラフラになってめちゃくちゃ熱出した。

3月某日(火) それでも仕事に行く。実はこの出張、インフルになった上司の代打だったので休めない。死にそう。仕事後、さすがに夜間救急診療所へ行ってインフルエンザの検査をするも陰性。高熱が下がらない。

3月某日(水) 上司に連絡し、出張を中断して家に帰る。朝、出張先の病院で診察を受けるも原因不明。インフル検査陰性。

3月某日(木) 自宅療養。本当はこの日別の出張があったがそういう問題では無い。かかりつけの病院に行くが原因不明。インフル検査陰性。点滴される。

3月某日(金) 熱冷ましを飲まないと高熱(38度以上)が出続ける。

3月某日(土) 血液検査するも原因不明。点滴される。

3月某日(火) もらった抗生剤が効かないので再度病院へ。尿検査と血液検査と点滴。ここでようやく腎盂腎炎のなりかけでは?ということになる。新しい抗生剤をもらって服用開始。家に帰って二回ほど気絶し昇天しかける。

3月某日~   ここから約二週間、トータル三週間寝込む。

 

3月はそんなかんじでほぼ出社できなかった。体力も全然戻らなかったし、高熱が10日以上出続けたので、ちょっと脳みそもバグり気味でしばらく味覚が変わったり、耳鳴りがしたり、視力が弱くなったりした。

結局この高熱祭りは、医者から「腎盂腎炎……なりかけ……みたいな……」という実質原因不明宣言を受けただけだった。もともと4月の健康診断で細菌尿だとか言われていたから、そういうアレもあるのかもしれないが結論は出なかった。

 

ここまで書いて何が言いたいかというと、これ、過労だったのだ。

実を言うと年末からこのときにかけて仕事がべらぼうに忙しかった。私は新卒一年目のペーペーなのだが、そのヒヨッコが上司の代打で出張とか意味分からんだろう。そういう意味分からん状況が数ヶ月続いていた矢先のことだった。

 

3月の最終週に復帰した。隣の部署の上司に言われた

「確かにここずっとお前のスケジュールやばかったよ……」

私は苦笑いしかできない。知ってたわ。でも新入社員は仕事を断れない。

同期にもことあるごとに色々言われていた。

「そんなことしてんの」「忙しそうじゃない……?」「だいじょうぶ?」

えっそっちはこれやらされてないの? 忙しくないの? だいじょうぶなの?

とにかく私はひとから見てもやばかったし、私もやばかった。

だけど職場に病み上がりで戻っても仕事量は変わらず、いきなりぶっ倒れる前と同じタスク量に戻った。その上すぐに4月が来て、新しい仕事が山のように積み上がった。

入社から一年定時退社を貫いていたけど、ここに来て残業しなきゃ仕事が終わらなくなってしまった。

 

気づくと毎日泣きながら家に帰る日々になっていた。

そんなわけで今は休職してます。

みんな、内臓に来るとほんとヤバだから気をつけてくれよな。